2016年11月8日(火)、とうとうGCPに東京リージョンが来ました。
URL: https://cloud.google.com/about/locations/japan/?hl=ja
GCPの様々なサービスに東京リージョンが加わり、これから日本でGCPが盛り上がっていくことは必至です!
※東京リージョンが追加されたサービスの一覧は下記の記事から確認ができます。
GCPで東京リージョンにて使えるサービス&使えないサービス一覧
さて、今回はGCPのストレージサービス「Google Cloud Storage」(以後「GCS」)にも東京リージョン(asia-northeast1)が加わったことを記念して、現在利用できる全リージョンに対して、アップロードとダウンロードの速度比較を行なってみたいと思います。
速度比較方法
速度の比較方法ですが、AWSのEC2インスタンスを東京リージョンで立て、そこから約1GBのダミーファイルをgsutilのcpコマンドで各リージョンのバケットにアップロードとダウンロードを3回行い、その処理時間の平均を比較したいと思います。
予想では、東京リージョンのバケットへの処理が一番速くなると思うのですが、どうなるか楽しみですね。
今回使用したコマンド例)
- [ダミーファイル作成] fallocate -l 1G dummy.iso
- [アップロード] time gsutil -o GSUtil:parallel_composite_upload_threshold=150M cp <ローカルのファイルのパス> gs://<バケット名>
- [ダウンロード] time gsutil -o GSUtil:parallel_composite_upload_threshold=150M cp gs://<バケット名>/<ファイル名> ./
※1 今回アップロード/ダウンロードに使用したオプション「GSUtil:parallel_composite_upload_threshold=」はサイズの大きなファイルを並列処理する時に使用するオプションです。
※2 事前にGCPプロジェクトのブラウザコンソールから各リージョンのバケットをストレージクラス「Regional」で作成しておきます。
速度比較結果
アップロード速度比較結果
地域 | リージョン | アップロード時間(秒) | |||
1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均 | ||
US | us-central1 | 18.011 | 17.154 | 16.554 | 約17.236 |
us-east1 | 19.220 | 17.748 | 17.333 | 約18.100 | |
us-west1 | 19.402 | 17.688 | 17.683 | 約18.257 | |
EU | europe-west1 | 30.201 | 27.348 | 23.633 | 約27.060 |
ASIA | asia-east1 | 21.095 | 15.854 | 17.490 | 約18.146 |
asia-northeast1
(東京リージョン) |
15.012 | 13.923 | 13.811 | 約14.248 |
ダウンロード速度比較結果
地域 | リージョン | ダウンロード時間(秒) | |||
1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均 | ||
US | us-central1 | 15.976 | 16.313 | 15.988 | 約16.092 |
us-east1 | 16.546 | 16.518 | 16.500 | 約16.521 | |
us-west1 | 15.729 | 18.199 | 16.112 | 約16.680 | |
EU | europe-west1 | 17.191 | 17.385 | 17.146 | 約17.240 |
ASIA | asia-east1 | 15.842 | 16.525 | 16.052 | 約16.139 |
asia-northeast1
(東京リージョン) |
15.517 | 15.270 | 16.130 | 約15.639 |
アップロード、ダウンロードともに平均処理時間が一番速かったのは「asia-northeast1(東京リージョン)」でした。
予想通りでしたね。
今回は1GBのファイルをひとつだけしか試しませんでしたが、複数のファイルを一度にアップロードしたりした場合、東京リージョンの真価が発揮されるのではないでしょうか。
GCS東京リージョンの気になる値段
速度の面では東京リージョンの有意性がはっきりと見えましたが、実際に使うとなるとスペックも大事ですが、料金も気になるところです。
それでは、GCS東京リージョンと他のリージョンの値段を見てみましょう。
ストレージクラス | asia-northeast1の値段
(東京リージョン)(GB/月) |
東京リージョン以外のリージョンの値段(GB/月) |
Regional | $0.03 | $0.02 |
Nearline | $0.016 | $0.01 |
Coldline | $0.01 | $0.007 |
全てのストレージクラスで、東京リージョンの値段は東京リージョン以外のリージョンのおよそ1.5倍の値段ですね…他のリージョンと比べてしまうと高価格ですね。
GCS東京リージョンの使いドコロ
他のリージョンより高価格という印象を受ける東京リージョンですが、国内のストレージにデータを保持しないといけない企業様にとってはAWSのS3と比較してみると安価であるため、十分選択肢の一つとして考えていただけるのではないでしょうか?
また、それ以外でもレイテンシが小さいことを最大限に活かして、スライスした画像を次々と表示するビューワーなどにも使えるかと思います。
ちなみに、弊社ではクラウドエース(Cloud Ace)というGCPの導入・運用支援サービスを提供しておりますので、ご興味のある方はこちらまでお問い合わせください。GAEに限らず、あらゆるGCPサービスのサポートが可能です。